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月夜の目覚め

TRPGの自キャラでSSを書いてみました。
前回書いた「姉妹のある一日」の続きの話になります。
(興味ないって方はブラウザバックでっ)

------------------------

夜。
ホワイトラヴァーも閉店し、翌日の準備も既に終わっている頃合である。
その裏山も、住み着く生物は寝静まり、動く者の気配は感じられない。
そんな山中の開けたところ、昼であるなら麓の景色が一望できる崖の際に
一人分の人影があった。
麓の方を向いて、何か背丈と同じぐらいの物を抱えるようにしながら立っているのだが、どこか俯いているように見える。
そして、何かを言っているようである。

「お姉様・・・」
レイアは呟く。
手には、常に携える聖職者用の杖を持ちながら。


月が一面をぼんやりと照らす。
満月とはいかないまでも、八、九分は姿を現している。
レイアは相変わらずの白い聖職者の格好であるが、色がおぼろげに分かる程度には淡い光が降っている。

「貴方の覚悟次第よ」
前に言われたその言葉がレイアの耳を離さない。
覚悟・・・?
お姉様のそばにいたいだけなのに・・・、何故そんな大仰なものが必要なの?

辺りには生きるものの気配はない。そんな中、呟いた言葉は
ただ暗闇の中に消えていく。
それでも、ただ呟き続ける。
誰かが答えてくれるのを待つが如く。

一人になれば何か分かるかも知れないと思い、一人で来た。
思えば、一人になったことなんて今まで一度もなかったかもしれない。
両親がいて、侍従がいて、そして姉がいた。
それだけで満足していたし、そこから離れる理由もなかった。
今までと同じなだけではないのか?何が変わってしまったのか、分からない。

ふと、レイアは後ろを振り返った。何か風が吹いたのか、辺りの木々がざわめく音が聞こえたからだ。
しかし、視界には何も見えないのを確認し、また振り返ろうとした瞬間、
レイアは何もいないという判断が違っていることを知った。
視界の上端。月の浮かぶ空に鳥のような生物・・・正確には人に鳥の翼が生えた魔物がいた。両手・両足に鋭い爪の姿が見え、
全身黒にしか見えない姿の中で赤い目だけが、薄明るい空にぼんやりと光っている。
眼下の人間の方向を見据えながら。

狙われている・・・?
何故こんな所に妖魔がいるのか?
それより、この場を何とかしなければならないが、自分に妖魔を撃退する術はあるのか?
逃げるべきなのか?

完全に混乱していた。今まで極力争いごとを避けてここまで来た。
誰かの力に縋りながら、自分はただ守りに入ることで。
そんな自分に、力などあるわけない。

妖魔が、レイアの方向に向かって腕を先にして急降下してくる。
腕の先には鉤爪が見える。崖を背にした人間をそのまま突き落として
しまおうという算段だろうか。

「貴方の覚悟次第よ」

ふと、前の姉の言葉が頭をよぎる。

無意識か、それとも言葉が動かしたのか、
レイアは抱えている杖を向かってくる妖魔に向けた。
胸元に両手で抱えて持っていた杖を右手だけで持ち、
空いた左手に魔力を込め始めた。
魔力を杖に込めるという、イメージ。
今までそんなことを試したことは無かったが、ただ一つの形を目指すために魔力を使う。
前に姉が見せた、力をためての一撃。
勝てるかどうかなど考えていない。ただ、姉と同じ事を実現するにはどうしたらいいか、それだけだった。

迫る妖魔、そして突きを繰り出して来るのとほぼ同時に
「・・・・!」
反射的に右手の杖を振り下ろすレイア。
瞬間、月夜に衝撃音が鳴り響いた。

静寂が戻った。
月は相変わらず、淡い光で辺りを照らし続けている。
音の発生した付近も、何事も無かったかのように静寂を取り戻している。
ただ、付近の風景には一つだけ変わったところがあった。
山中の開けた部分に一区画、何かが落ちたような跡
-大きさは2-3メートルぐらい、
が見られること、そしてその側に、一人の人影がいることである。

「何とかなった、の?」
レイアは呟く。
自分は、ここにいる。動ける。つまりはそういうことなのだろう。
何をしたのかは覚えていた。
自分の魔力を乗せて、目一杯ぶん殴る。
一緒にいたいと願う姉のように。

「覚悟」
レイアはまたその言葉について考えていた。
今思うと、何かを一人でしようという覚悟かもしれないと思う。しようと思わなければ、試みなければ、恐らくここにはいなかった。
なら、次は何をしようとする覚悟がいるのか。

「お姉さま、待ってて」
目的は決まっている。ならば後は方法と心だけだ。
レイアは杖を改めて右手で持ち、自ら作った地面の跡に一瞥くれると、その場を歩き去っていった。
満月には少し足りない月は、何も変わらず辺りを照らし続けていた。
















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Author:jin
競馬・東方・TRPGあたりが好きな社会人です。競馬にかこつけたふらり旅が大好き。今は九州行きたい

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